初めに
社会保険(公的保険)の中に、医療保険、介護保険、労働者災害補償保険(労災保険)、雇用保険、年金保険があります。
年金保険(公的年金)には、国民年金と厚生年金があり、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人がどちらかに強制加入です。
今回は、その年金保険から支払われる老齢年金給付・遺族年金給付・障害年金給付のうちの、遺族年金給付について詳しくみていきましょう。
遺族年金とは
遺族年金とは、被保険者、被保険者であった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金が支給されます。
亡くなった方の年金の納付状況、遺族年金を受け取る方の年齢、優先順位などの条件をすべて満たしている場合に、遺族年金を受け取ることができます。
遺族基礎年金
国民年金の被保険者(厚生年金の被保険者含む)、または老齢基礎年金の資格期間を満たした方が亡くなった場合に支給されます。
【受給要件】下記いずれかに該当している
・国民年金の被保険者である間に死亡したとき、または被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき(死亡日が含まれる月の前々月までの加入期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の2/3以上ある)※1
・老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき、または受給資格を満たした方が死亡したとき(保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が25年(300か月)以上ある)
※1…死亡日が令和8年3月末日までは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近一年間に保険料の未納がなければよい。
【対象者】下記いずれかに該当している
・子※1のいる配偶者
・子※1
※1…18歳到達年度の末日(通常高校3年生まで)までの方、または20歳未満で障害年金の等級2級か1級の状態の方
子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。
【支給額(年額)】
子のいる配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)の場合…795,000円 + 子の加算額※1
子のいる配偶者(昭和31年4月1日以前生まれ)の場合…792,600円 + 子の加算額※1
子が受け取る場合…795,000円+2人目以降の子の加算額※1
※1…第2子まで各228,700円、第3子から各76,200円
国民年金の第1号被保険者独自の給付制度で、子供がなく遺族基礎年金を受給できない時、寡婦年金か死亡一時金のどちらかだけを支給できる。 【寡婦年金】…受給資格期間(10年)を満たした夫が年金を受け取らずに死亡した場合 対象者:10年以上の婚姻期間があった妻に60~65歳までの間に支給される。 金額:老齢基礎年金の4分の3(自身の基礎年金を繰り上げすると対象外) 【死亡一時金】…受給資格期間が3年以上あった夫が年金を受け取らずに死亡した場合 対象者:遺族 金額:12~32万円
遺族厚生年金
会社員・公務員など、厚生年金加入者が死亡した時に支給されます。
【受給要件】下記いずれかに該当している
・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき、または被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき。
(死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要)※1
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき。
・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき、または受給資格を満たした方が死亡したとき。
(保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が25年(300か月)以上ある)
※1…死亡日が令和8年3月末日までは、死亡した方が65歳みまんであれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近一年間に保険料の未納がなければよい。
【対象者】
死亡した方に生計をともにしていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。なお遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
①子のある配偶者
②子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)
③子のない配偶者(妻が30歳未満は5年まで、夫は55歳以上で受給は60歳からになる)
④父母(55歳以上で、受給は60歳からになる)
⑤孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)
⑥祖父母(55歳以上で、受給は60歳からになる)
【受給額(年額)】
老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額
(厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算)
65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るとき…「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額」か「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の1/2の額と自身の老齢厚生年金の額の1/2の額を合算した額」の高い方の額
遺族厚生年金の、高齢の寡婦加算
該当する妻が受ける遺族厚生年金には、対象の子のない、40歳から65歳になるまでの間に寡婦加算が支給されます。
【受給要件】下記いずれかに該当している
・夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻。
・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
【対象者】
40歳以上65歳未満の妻
【受給額(年額)】
一律 596,300円
65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金(ご自身が加入していた厚生年金がある方)を受ける権利がある方は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金からは老齢厚生年金に相当する額を引かれた額が支給されます。(平成19年4月1日~)
まとめ
遺族年金給付は、被保険者・被保険者であった方が亡くなった時に、支給されるものです。
遺族基礎年金は、国民年金または厚生年金加入者で、受給要件を満たしていれば、子がいる配偶者・子が受け取ることができます。
遺族厚生年金は、厚生年金加入者で、要件を満たしていれば、死亡した方に生計をともにしていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。
支給金額は下記のとおりです。
以上、今回は年金制度の遺族年金給付についてでした。年金保険って?・老齢年金給付・障害年金給付についてはクリックしてご覧ください。
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